耳鼻科病棟でのエピソード
仲の良い耳鼻科医が、病棟での出来事を笑い話として教えてくれました。
この前、鼻出血の患者さんの止血でガーゼを詰める処置をするとき、新人さん(入職2か月)が介助についてくれたんだけど、捲綿子にガーゼを用意して渡してきたんだよね(笑)
いや、捲綿子は鼻に入らないから、鼻出血の止血に使えるわけないじゃん(笑)
元々介助なくてもできる処置だったから、「もういいよ」って言って自分でやった。
ナースステーションに戻ってリーダー看護師に「あの子、鼻出血の止血に捲綿子渡してきたから、指導しといて」って言っといた。
それが3日前くらいなんだけど、昨日病棟に行ったら看護主任が「○○さんのこと聞いたよ~鼻出血で捲綿子を使うわけないよね笑」と声をかけてきて、その話をしてたら4年目の看護師が「その話、聞きたかったの!どういう状況だったの?やばくない?」と笑いながら近寄ってきて、みんなでその日の処置のことで爆笑してた。
この耳鼻科医は笑わせようとして私にこの話をしたんだと思いますが、正直全く笑えませんでした。
新人さんの気持ちになると、つらくて涙が出ます。
- 就職して間もないのに1人で先生の処置につくのは怖い。頑張って入ったのに・・・
- 止血の処置に使う道具は捲綿子と教わったから渡したのに、例外なんて聞いてない(他の部位の止血処置にはよく使います)
- 「もういいよ」って患者さんの前で見捨てるような態度を取らなくても・・・
- 上手く処置介助ができなかったのはわかっているから、わざわざ先輩看護師に言わなくていいのに・・・
- 信頼できる聞きやすい先輩に教えてもらうから、よりによってその先輩に言わないでよ・・・
- 先輩も、いろんな人に私の失敗を言いふらさないでよ・・・主任まで知ってるなんて・・・
- しかもナースステーションで大笑いして話さないでよ・・・
私自身、器用にこなせるタイプではないので、新人時代は基本すらなかなか覚えられなかったし、例外的なことや応用して考えるような内容は、適応するのに本当に時間がかかりました。
先輩に「愛華ちゃん、先生来たから処置介助ついてくれる?」と急に言われて、「何の処置をするの?予習してないよ?何を使うの?1人で処置につくの?」といろいろ言いたいことがあるのに先生が処置を始めてしまい、もう訳もわからず処置介助につき、先生には怒鳴られ、ボロボロだったことがあります。
新人看護師なんてそんなものだよ、と思われるかもしれませんが、やっぱりつらいですよね。
処置室での出来事ももちろんつらいですが、
- 医師や先輩看護師に、できない新人というレッテルを貼られた
- 患者さんに頼りない看護師だと思われて、これから別の場面でも私が担当すると不安に思われるかもしれない
- 私の失敗を知っている人はどれだけいるんだろう?先輩全員知ってるのかな?
- 仕事のできない新人と思われて、これから他の先輩からも信頼されなくなるんじゃないか
- 今回の件以外でも、私の失敗は先輩たちの間でよく話題になっているのかな?
- もう何をするのも怖い・・・
という気持ちになります。(※私の場合です。気にしない新人さんもいるとは思います)
仲の良い医師なので、私は正直に「それは新人さんがかわいそうだから、先輩に言わないでいいと思うよ」とその医師に言いました。
え、そんな風に考える!?
いや、まだ2か月の新人さんが処置介助できないなんて、当たり前じゃん。そんな怒ってないよ、見捨てたのは確かだけど。
それに、この1件だけでその子が仕事できないなんて思わないよ。
女社会はややこしいね、知られたくない先輩とかもあるんだね。
そういえば今日も、同じ患者さんで同じ処置があって、その新人さんが介助についてくれたけど、何も問題なく終わったな~
おそらくその新人さんは、前日泣きながら帰ったと思います。
そして、次は同じ失敗をしないようにとその処置介助の流れを復習。さっそく今日またその処置介助につくことになり、緊張。そして今日はスムーズにできたのです。
その努力と成長を想像し、私は泣いてしまいました(笑)耳鼻科医はびっくりしていたはず(笑)
人の失敗を言いふらさない、笑わない、忘れたことにする
言いふらさない
私がそのリーダー看護師だったら、処置をした医師に指導しておくよう言われたとき、まずは「まだ教えていない処置の介助を急にやってもらって、困らせてしまってごめんね」と言うと思います。
次に、「その患者さんの場合はこのように処置の介助をするよ」と説明します。
そして、その新人看護師は今回医師から冷たい対応を受け落ち込んでいるし、たまたま知らなかっただけの話なので、今後同じ失敗をするとはあまり考えられません。
なので、その新人さんが今回失敗したことを他の先輩看護師と情報共有する必要はないと判断し、誰にもこのエピソードを話しません。
新人さんに関するネガティブなことを話すとしたら、新人教育担当の看護師だけに言えばいいと思います。
そしてその内容は、自分が新人さんに伝えるだけでは解決にならないような、先輩が情報共有して気をつけないといけない内容だけでいいです。
例えば、やっていないことをやったと言ったり、患者さんから頼まれたことを頼まれていないことにしたりと、嘘をつくタイプの新人さんは、先輩が指導する上で気をつけておかないと患者さんの安全に関わるので、情報共有が必要だと思います。
※嘘だったと認めていて、私から伝えても繰り返す場合に、新人教育担当に報告しました。
笑わない
また、失敗の中には笑えるものもあるし、むしろ笑ってくれよ・・・と思うものもあります。
笑うべき失敗と笑ってはいけない失敗の違いは何でしょう?
本来その人はできる能力があるのにうっかりミスをしてしまい、それが深刻なトラブルには発展しなかった場合
その人は全力で頑張ったけど、上手くできなかった場合
例えば今回のエピソードなら、耳鼻科歴10年の看護師が間違えて捲綿子を鼻出血のガーゼ圧迫で先生に手渡したなら、「それは鼻に入らないでしょう」と笑ってもいいと思います。
忘れたことにする
新人さんの失敗や足りていないことについては、その場で説明し、それ以降話題にはしません。
仮に同じミスを繰り返したとしても、それは説明が悪かった可能性があるので、別の言葉で説明し、決して「前にも言ったけど...」とは言いません。
同じミスをした場合、ミスをした本人が「またやってしまった・・・」と気づき、落ち込むものです。
そこに追い打ちをかける必要はありません。
新人さんの方から「前も教えてもらったのに、すみません」と言われたら、「そんなことあったっけ?」と覚えていても忘れたふりをしておきます。
先輩がミスをいつまでも覚えていたら、似たシチュエーションのときに必要以上に緊張してしまいますし、逆にいつまでも似たシチュエーションのときに信頼してもらえないのではないかと考えてしまうかもしれません。
毎回初めての気持ちで信頼し、心の中では成長を確認し、指導するポイントがあれば初めての気持ちで指導すれば良いのです。
まとめ
今回のエピソードを聞いて、それぞれの立場の人へ伝えたいことをまとめました。
医師へのお願い
看護師は複雑な人間関係があるので、適当にそこにいるベテラン看護師へ新人さんの失敗を言わないでください。
患者さんとの信頼関係もあるので、できれば患者さんの前では怒ったり見捨てたりしないでください。
先輩看護師へのお願い
新人さんの失敗を言いふらさないでください。笑わないでください。
他の人に話すなら、直接当人へ教えてください。
新人看護師へのお願い
医師や先輩看護師に失敗を笑われても、気にしないでください。
初めてのことが上手にできないことは当たり前だとわかっています。
その失敗で評価が下がったり、印象が悪くなったりすることはありません。
深い意味のない話題で、それで新人さんが落ち込むとは考えていません。
悪気はないことを理解し、落ち込まないでください。