前編記事では、
・ジャパンハートとは?
・国際緊急救援事業とは?
・災害ボランティア登録研修とは?
を紹介しました。
後編では、災害ボランティア登録研修を受けてわかったこと、感想、検討中の方へのアドバイスを書いています。
ジャパンハートについて知らなかった方に興味を持ってもらえたり、興味はあるけど最初の一歩を踏み出せないという方の参考になれば嬉しいです。
一緒に活動しましょう!
こんな人にオススメ
本記事の内容
国際緊急救援災害ボランティア登録研修に参加して感じたこと
参加者が良い人ばかり
研修初日の自己紹介の時点で、参加者が素敵な人ばかりで驚きました。
職業は、医師・看護師・検査技師・ME・医療とは関係のない会社員などさまざまで、学生から50代後半の方まで幅広い年齢層の方々が参加していました。
皆さん人生の目標を持っており、その目標達成に向かう1つの経験として、社会に貢献したいという気持ちで今回災害ボランティア登録研修に参加されていました。
私の場合、未婚で子どももいないため、長期的に家を空けても困る人がいないという自分のフットワークの軽さに気づき、災害ボランティアに適していると思ったので参加しました。
コミュニケーション能力が必要
災害ボランティアの参加者は全国各地から集まり、仕事も年齢層もさまざまです。
活動期間もそれぞれの事情によるので、毎日のように新しい人との「即席チーム」で活動します。
初対面の仲間と共にチームワークよく動くには、高いコミュニケーション能力が必要となります。
また、相手を尊敬する気持ちや、自発的に行動できる力も必要となります。
人の入れ替わりが多いため、引き継ぎも確実に行わないと、被災者の方から「昨日も同じことを聞かれた」と言われてしまうこともあります。
支援者は目線や考え方が重要
印象に残っているお話があります。
支援物資の水をある被災者の方へお配りしたところ、「普段は朝はコーヒーなんだよね」と言われました。
医療スタッフがコーヒーを用意するのはもちろん難しいことですが、支援物資の調整をしているグループへコーヒーの希望があることを伝え、近いうちにコーヒーをお配りできるよう調整を依頼することはできます。
被災者も日頃と同じような暮らしをする権利があるため、決して「水しかないので仕方ない、我慢してください」なんて言ってはいけません。
支援者は決して「~してあげる」と上から目線になってはいけませんし、相手の望んでいないことを押し付けてはいけません。
何を欲しがっているのか、ニーズを把握し、「こんなことができますが、してもよろしいでしょうか?」という姿勢で関わります。
<亜急性期医療活動の原則>
自らの行動は被災者の利益となること
自分のやりたいことをするのではなく、被災者が望んでいることが何かを見極め、行動する
自分たちの目的だけを果たすために行わないようにする
必ずしも「医療」をしに行くわけではない
私の場合は看護師として災害ボランティアのメンバーに登録しましたが、災害現場で私がすることは医療行為とは限りません。
むしろ医療行為のほうが少ないです。
ジャパンハートは「支援者の支援」をしに行くため、現場のスタッフがいつも通りに働けるような環境を整えることが第一です。
なので、現場が忙しすぎて清掃が行き届いていない場合は、掃除をしたりごみ集めをしたりといった医療行為外の仕事が多いです。
「これは私の仕事ではない」と思わずとにかく「なんでもやる!」
<亜急性期医療活動の原則>
自らの「こうあるべき」を被災者にも、チーム内でも押し通してはならない
直面する課題に対して「どうすれば良いのか」を考え、ベストを尽くすことは大切ですが、ベストであるかどうかは受益者が決めること
ロジスティックスの役割が大切
ロジスティックスとは、主たる目的達成のために環境を整えることです。
演劇に例えるなら、役者は医師や看護師、お客さんは被災者で、ロジスティックスは監督や照明・音響担当などです。
家庭で例えるなら、専業主婦のお母さんです。
ロジスティックスチームがうまく機能し環境を整えることで、医療チームが実力を発揮できます。
ロジスティックスは何をするにもまず考えなければならない重要事項で「後方支援」といった概念ではない
エマージェンシーケアより引用
広辞苑:作戦群のために、後方にあって車両・軍需品の前送・補給・修理、後方連絡線の確保に任ずる機関
オックスフォード辞典:複雑な作戦(計画)を成功させるために必要とされる実際的な機構(組織)
大辞林:原材料の調達から生産、販売、在庫にいたる物の流通。また、その流れを合理的に組み立て統制する管理活動
医療従事者じゃないから、災害ボランティアであまり活躍できないかな・・・と考えている方がいれば、全くそんなことはありません!
医療者ではない方々のロジスティックス部門の役割は、時間管理、人員管理、物品管理、資金管理、安全管理、健康管理、情報管理など多岐に渡り、医療者が活動するためになくてはならない存在です。
過去には、SCU(空港内につくる臨時の医療施設)にDMAT(医療チーム)が300人支援に来たものの、食事や宿泊、沿岸地域へ移動するための車などがなく、実質帰宅困難者が300人増えてしまったような状況になったことがあるそうです。
そこで、ロジスティックチームの必要性・重要性が認識されました。
ストレス発散方法を身につける
災害では大切な人や大切な物をなくしてしまう方が大勢おり、その悲しみを傾聴したり感情移入したりする支援者にもストレスがかかります。
ただでさえ不慣れな場所で即席のチームで働く支援者にはストレスがかかるので、自身でストレスコントロールをすることが必要となります。
支援者も無理なく活動できるよう、好きな音楽を用意したり、運動習慣を続けたり、自分にあったストレス解消や気分転換の方法を見つけておきましょう。
周りにストレスを与えない人になる
私自身やってしまいそうだと思ったのが、災害ボランティア活動に参加した後、活動に関係のない家族や親しい友人に「こんなことがあった」「こう思った」「大変だった」など、たくさんたくさん話を聞いてもらいたくて話してしまうことです。
これは、聞く側にとてもストレスをかけてしまうので、質問されたら簡単に答えるくらいがちょうど良いのです。
また、被災者の方々へもストレスを与えないことも大切です。
支援しに行っているのに、プライバシーを配慮せずパーソナルスペースに入っていくような対応をしたり、引き継ぎが不十分で同じことを何度も伝えたり言ってもらったりすることは、ただでさえ辛い思いをしている被災者にさらなるストレスをかけてしまうことになるので、注意が必要です。
<亜急性期医療活動の原則>
自らの行動が被災者にさらなる苦痛や負担を与えないこと
避難所で過ごされている方はもちろん、被災地の行政、医療、その他対策に当たっている人たちも被災者
自分たちのことは自分でやる、自己完結の姿勢が大切
災害サイクルのどのフェーズで活動する団体なのか事前に理解しておく
詳しくは前半記事に書いていますが、災害には「災害サイクル」「フェーズ」というものがあり、様々な医療チームにそれぞれの役割があります。
自分のやりたい活動と一致する時期・内容で活動する医療チームを理解し、参加・申し込みすることが大切です。
例えば、「瓦礫の下の医療」に憧れているなら、ジャパンハートは時期・内容が異なります。
□自衛隊:超急性期に活動
被災者の捜索、救助、水防、医療、防疫、給水、人員や物資の輸送など多種多様な災害派遣活動を行う
□DMAT:超急性期・急性期に活動
医師、看護師、業務調整員で構成される発災後48時間以内から活動できる専門的な訓練を受けた医療チーム
□JMAT:急性期・亜急性期に活動
日本医師会が編成するが、医師だけでなく看護師や調整員も含むチーム。DMAT撤退後、避難所や救護所で医療や健康管理を行う
□日本赤十字社救護班:急性期・亜急性期に活動
災害救助法において救護への協力義務が規定されている「指定公共機関」
□Peace Winds Japan(PWJ):超急性期に活動
ヘリコプターなどの航空機を活用し、災害救助犬や救助チームと共にいち早く被災地に駆けつける医療を軸とした災害救援支援チーム
□A-PADジャパン/ARROWS(空飛ぶ捜索医療団):超急性期に活動
Peace Winds Japanの姉妹団体。PWJと連携して災害救援を行うチーム
□HuMA(災害人道医療支援会):急性期・亜急性期に活動
Peace Winds Japanの撤退後を担う医療従事者を中心とした国内外の災害に対する支援事業、各種の研修事業を行う
□AMDA(アムダ):急性期・亜急性期に活動
移動診療車や移動調剤車、宿舎や炊き出し、材料の冷凍、電源、給水、ごみ収集など様々な車両で被災者の救援を行う
防災・減災の対策をしておく
防災・減災対策の大切さを知りつつも、「いつか準備しよう」と先延ばしにしてしまう人が多いと思います。
私自身、そうでした。
南海トラフ地震は、今後30年以内の発生率が60~70%と言われています。
最大予想被害では、死者・建物被害の合計は東日本大震災の約17倍です。ライフラインについても、上水道は3440万人が使用不可となり、停電被害は2710万棟(東海・禁忌・四国の9割が停電)と予想されています。
自分が助かるためだけでなく、周りの人に迷惑をかけないためにも、防災・減災対策をする必要性を感じました。
すぐにできる防災・減災対策
- 防災マップ(ハザードマップ)で自分の住んでいる地域が災害時にどのような被害にあう可能性があるか、確認する。
- 自宅や職場など、日頃過ごしている場所の避難経路や避難場所を確認する。
- 家具の固定をして、二次被害を防ぐ。(本棚や食器棚の固定、ガラスの飛散防止フィルムの使用など)
- 防災バッグ、食糧品を準備する。(水や食べ物は最低3日分、できれば1週間分準備しておく)
日頃から地域とのつながりを大切にし、コミュニケーションをとっておくことで、自分の周りに子どもやお年寄りなど支援が必要な人がいるか、把握できます。
逆に、自分が被災し身動きがとれないときに、気づいてもらえることにも繋がります。
まとめ:とにかく人間力が問われる環境
災害ボランティアへの参加は、これまでの人生で培ってきた「人間力」を発揮し、さらに向上させることだと思いました。
どんなにボランティア活動にやる気があっても「支援してあげる」という心構えでは、被災者の方々を嫌な思いにさせてしまいます。
また、「自分が主役」というような気持ちで自分の得意分野の支援ばかりやっていては、支援者の支援にはなりませんし、被災者への押しつけになってしまいます。
いかに謙虚な姿勢で、関わる被災者やチームスタッフのことを尊重し、後方支援に徹し、「何でもする」という心構えでいられるかが大切だと感じました。
そして、その気持ちを伝えられるようなコミュニケーションスキル、被災者や初対面のチームスタッフに受け入れられる人柄であることも必要です。
このような姿勢で支援活動に参加できていない場合は、注意を受けたり、活動に参加せず帰るよう言われることもあるそうです。
今回の研修では、実際の支援の内容についてももちろん学べましたが、被災者の方々に対する目線や考え方、チームスタッフとしての心構えなどを多く学ぶことができました。
正直、今の私では心の綺麗な人ばかりのこのチームに馴染んでやっていけるか不安ですが、皆さんの良いところ、素敵なところをどんどん見習いながら、この活動を通して私も人の役に立ち、人間力を高めていけたらなと思いました。