私は何年経っても忘れない、大きなミスをしたことがあります。
ミスは誰にでもあるとは言うものの、なかなか聞くことも難しいのではないでしょうか?
この記事では実際に起こしてしまったミスについて書いています。
インシデントの内容
状況
看護師になって3年目の6月。
その日の勤務は私より若手のスタッフばかりで、私は重症患者さんを受け持ち、緊急入院も担当し、後輩のフォローもして、いっぱいいっぱいの状態でした。
そして夕方、自分の受け持ち患者さんの大切な点滴を、確認不足と思い込みから間違えて投与してしまったのです。
気づいてすぐに間違った点滴を止め、上司(看護師長)にミスを報告し、上司に付き添ってもらい患者さん・ご家族に謝りました。
そしてその患者さんの主治医へ、電話でミスをしたことを報告しました。
幸い患者さんに実害はなかったのですが、絶対に間違ってはいけない大切な点滴を間違えたので、私は患者さん・ご家族、医師、同僚の看護師から怒られること、信頼を失うことを覚悟しました。
フォロー
しかし、驚いたことに、
患者さん・ご家族からは「愛華ちゃんはいつも良くしてくれているから、そんなに気にしなくていいのよ。わざわざ正直に言ってくれて、ありがとうね」と言葉をいただきました。
看護師長は「どういう理由で間違えたのか振り返りをしよう」と言い、他の管理者やリーダー、安全管理担当者などを集め、その日のうちに会議を開いてくれました。みんな忙しい中急に呼ばれたのに、誰一人嫌な顔をせず、私を責める発言をしませんでした。
そして主治医も「そうなんだ、まあ心配はないよ。その点滴を使ったということは、補充するために入力が必要なものはある?」と私を怒る言葉は全くなく、フォローしてくれました。
翌日退職届を提出
それでも私は自分のミスを許すことができず、翌日退職願を提出しました。
「もう、私が看護師を続ける資格はありません」と。
その日はお休みで、退職願を上司に渡して帰宅したのですが、その後同期・先輩・後輩、部署のほとんど全員から個人的にメールやLINEが来たのです。
同期からは「誰も愛華を責めていないよ、また一緒に働こう」「あの日の愛華は頑張っていたし、愛華はいつも頑張っているのをみんな知っているから、信頼は変わらないよ」と。
先輩からは「私も実は、過去に大きな失敗をしたことがあるけど、看護師を続けているんだよ」「同じ失敗や似た失敗を絶対にしないと強く思えば、それ以上気にしなくていいんだよ」と。
後輩からは「愛華先輩を尊敬する気持ちは変わらないし、ずっと憧れの先輩です」と。
管理者(主任)からは「悪いけど、これからも愛華ちゃんを頼りにしているから、任せる仕事は変わらないよ」と。
違う部署へ異動した先輩まで、「細かいことは聞いていないけど、落ち込んでるんだって?飲みに行くか?」と連絡をくれました。
やっぱり看護師を続けたい
そして私は次の出勤日、二度と同じ失敗を繰り返さないため、今回のミスの原因やその日の問題点、今後の対策などを図を用いて1枚の紙にまとめ、部署のスタッフ全員に配り、「私はこのようにすることで、絶対に同じミスをしないので、また一緒に働かせてください」と伝えました。
「ここまでするのは、愛華らしいなあ」と同期に笑われたのを覚えています。
そして後日、患者さんへ謝る時に付き添ってくれた看護師長が「今まで大勢の看護師と働いてきたけど、このレベルの大きなミスをしたのに患者さんからも先生からも他の看護師からも、ここまで誰からの評価も変わらない人はいなかったよ。本当に、全員全く愛華ちゃんを責めていなかった。実は、私もびっくりしたんだよね。」と言ってくれました。
1回の出来事より、日頃の働き方の方が重要
この経験を通して、大切なのは、(ミスをしないことはもちろんですが、)日頃から患者さん・ご家族や同僚から信頼を得る働き方ができているかだと思いました。
当時の私は、自分で言うのは恥ずかしいですが、頑張っていました。
だから大きなミスをしても信頼関係は崩れなかったのだと思います。
そして、私はみんなのおかげで看護師を続けることができています。
もう何年も経っていますが、点滴に関するミスはこの件以降、一度も繰り返していません。