看護 経験

SBAR報告を身につけましょう!医師にも先輩にも使えます【例文集あり】

2022年9月2日

看護師はSBARで報告

仕事中に困ったことや迷うことがあり、先輩看護師や医師へ声をかけることはよくありますよね。
特に新人看護師さんはわからないことだらけで、とりあえず自信がないことは何でも報告・連絡・相談!と習っているはずです。

しかし、一生懸命話しているのに先輩や先生から「え?つまり何?何が言いたいの?何をしてほしいの?」と冷たい対応をされることがあると思います。
冷たい対応なだけなら我慢できますが、重要な報告をしているのに「はいはい、今忙しいから、後にしてくれる?」と繁忙すぎて流されてしまい、聞いてもらえないこともあるかもしれません。

この記事では、簡潔で、身の丈に合った口頭での報告をするためのポイントを紹介します!
新人看護師さんや、リーダーデビューした若手の看護師さんが、先輩や先生に報告するときの参考になればと思います。

こんな人にオススメ

  • 先輩にうまく報告できない新人看護師
  • 医師にうまく報告できない若手看護師
  • 報告で相手にイライラされてしまう
  • 報告したかった内容がどうやら伝わっていない

本記事の内容

  • SBARとは?
  • 上手ではない報告の原因
  • 上手な報告のポイント
  • 例文集

SBARとは

報告・引き継ぎの方法として、「SBARを使うと良い」というのは聞いたことがありますか?

SBARは、「エスバー」と読みます。
それぞれの意味は、
・S(Situation):状況
・B(Background):背景
・A(Assessment):考察(アセスメント)
・R(Recommendation):提案

です。

このように書くとなんだか難しいことのように思えますが、慣れれば息をするようにこのSBARを使いこなせます(笑)
正確に使えているかは微妙なところですが、大切なのは報告がわかりやすいかどうかです!

ちなみに、この記事では口頭でのSBARを紹介しています。
カルテ上で行う引き継ぎのSBARは、S・B・A・Rのそれぞれをきちんと完成した文章にして、曖昧な表現や根拠のない推測は避け、考察(A)は自分の力量などを含めず患者さんの状態のみを考察します。提案(R)は、引き継ぐ相手(次の勤務者、手術室や透視室の看護師、転棟先の病棟看護師など)への依頼内容などを書きます
引き継ぎのSBARは、患者さんの診療科が変更になる際(転科)など、医師の間でもよく使われています。

上手ではない報告

緊急度・優先度がわからない

事例①
点滴開始直後に患者さんの様子がみるみる悪くなっていくとします。
患者さんの名前を言って、現病歴を言って、既往歴を言って、最近使った薬剤名を言って、患者さんの部屋に行った時間を言って、、、
ここまでで結構時間がかかっています。
これでは「忙しいから後にして」と先輩はどこかへ行ってしまったり、先生に電話を切られてしまうかもしれません

これが初めて使う薬剤の影響で起こった重篤なアレルギー症状の報告だったとしたら、大変です

今伝えたい用件が報告の後半にある

先程と同じ事例①とします。
患者名、病名、薬剤名、時間を伝えた後に、「血圧低下と脈拍上昇とSpO2低下があり、意識も朦朧としています」という最も重要な情報が出てきたら「それを先に言ってよ!」と言われるに違いありません。対応の開始が遅れてしまいます。

まず、「○○さんがショックバイタルです!」と言えば、続きの報告と並行して対応を始められます

基本情報がない

事例②
先輩看護師への報告なら、先輩もその患者さんのことをよく知っているので基本情報を省略しても伝わるかもしれませんが、医師への報告の場合、基本的な情報は必要です。
基本的な情報とは、患者さんの病名、治療内容、方針、本人・家族の理解などです。

「○○さんが大量に下血して、血圧が60台です!!!」と大慌てで先生に連絡しても、その先生が主治医でなければ○○さんが何の病気で、どうして下血していて、どこまでの救命処置を望んでいる人なのかがさっぱりわかりません。

この患者さんは大腸がんの終末期で、DNAR(延命処置を希望しないこと)の同意を得ており、3日前に出血の可能性があることや予後は数日であることを主治医からご家族へ説明していたとします。
報告を受けた先生はそれを知らないので、やらなくてよい採血・輸血・緊急内視鏡の準備をしようと考えるかもしれません。

事実と考察が混ざっている

事例③
転倒した患者さんについて医師へ報告する場面とします。
「トイレに行こうとしたんだと思うんですけど、病室に行ったら倒れていました。あまり痛くないと言っているので骨折してはいないと思うんですけど、結構腫れて赤くなっていて、、、一応レントゲンを撮りますか?」

この中には、事実と考察がぐちゃぐちゃになっており、わかりにくいです。
事実:発見時すでに倒れていた、痛みは軽度、腫脹と発赤がある
考察:トイレに行こうとした、骨折はしてなさそう、検査など何かしらの対応は必要そう

忙しい先生に「骨折してないなら経過観察でいいよ」と言われるかもしれませんが、本当に骨折していないのかどうかはわかりませんし、そもそも何かの病気が原因で一時的に意識を失って倒れたのかもしれません

どんな理解と対応をしているか伝わらない

事例④
看取り予定の患者さんのモニターに注目しておくよう先輩から言われており、変化があったので先輩へ報告するとします。
「○○さんの脈拍がさっきまでは120台だったのが、今は58~65くらいで推移しています」
これだけしか伝えないと、先輩は後輩看護師がどのように理解して、どのような行動をするつもりなのか、どのようなフォローが必要なのわかりません。

「SpO2の低下はないし瞳孔の大きさも変化ないし、脈拍以外は変わりないから安定していると考えて、先に△△さんのシャワー浴の介助を終わらせておこうと思います」という考察(A)・提案(R)を言えば、先輩は「そんな時間はないよ、○○さんの残りの時間はもう少ないと思うから家族に状況を説明しないといけない。一緒に行こう」と対応してくれます。
言葉が足りないことで、先輩は後輩看護師が患者さんの状態を正しく理解し、家族にも説明し、他の受け持ち患者さんに関する業務の行動計画も見直しているだろう、と過信してしまうかもしれません。

何をしてほしいのかわからない

事例⑤
「○○さんの手術後の傷口が少し赤いことに気づきました。痛みはないし腫れも熱感もないので、感染徴候ではないと思います。」
と先輩に報告したとします。
この報告は状況(S)と考察(A)はきちんと述べられており(背景(O)は共通理解があるので省略してOK)、先輩は「そうか」とだけ思います。

しかし報告した側の意図は、「創部感染ではないと思うけど、自信がない。今患者さんがシャワーを終えて服を着ていない状態なので、手が空いていたら今一緒に傷口を観察して評価してほしい」ということでした。

報告の際に、相手にしてほしいこと提案(R)が必要です。

上手な報告

報告が上手か下手かは、看護師としてのアセスメント(考察)力とは関係ありません
新人さんはアセスメント力が低いのは当たり前で、アセスメントができていないことも含めて報告する必要があります

アセスメントができていないから、と報告するのを躊躇っていてはいけません
報告とは、患者さんの状態を伝えるだけでなく、対応しているスタッフの力量、現場が適切に行動できているかも含めて報告する必要があります。

SBARを使った上手な報告のポイントは、

  • 内容は自分の身の丈に合わせて
  • 簡潔に

です。立派な文章を作る必要はありません

内容は身の丈に合わせて

報告は、学会発表ではありません。
専門用語が思い出せなくても良いですし、何が起こっているのかさっぱりわからなければ「さっぱりわからない」と言っていいのです。

考えている分だけ報告が遅れたり、勘違いしたアセスメントを発表して周りを惑わせたりする方が、問題です。

また、患者さんの状態を理解していないのに当てずっぽうで「大丈夫と思うんですけど」と考えを述べるのも危険です。
大丈夫かどうかは報告を聞いた側が判断するので、判断材料になる情報だけを伝えれば良いのです。
特に、「骨折かもしれない」「膀胱炎かもしれない」などの診断は医師がすることなので、看護師が言う必要はありません。

簡潔に

報告相手も大抵忙しいですし、患者さんの急を要する状況であれば、関係のない情報を話して時間を取ってしまうのは避けたいところです。
また、医師への報告は電話のことが多いため、対面で話すより伝わりにくいです。

報告したい用件に関連する必要な内容を選んで伝えましょう。
例えば、患者さんのバイタルサインが変化しており医師へ診察に来てほしいと連絡する際に、循環に影響する疾患や症状、点滴については報告が必要ですが、「この患者さんには認知症があります」と言う必要はありません。
バイタルサインの変化の原因が認知症である可能性は極めて低いですし、診察に来てくれたタイミングでも追加で報告はできるので、電話で伝える内容は厳選しましょう。

SBARを使った報告の例文

「上手ではない報告」の事例を含め、報告の例文を紹介します。
これらは、素晴らしい報告とはとても言えませんが、新人看護師さん・若手看護師さんと一緒に働く先輩看護師や医師が、患者さんの安全を守るために必要な情報を最低限把握できる内容にはなっていると思います。

先輩看護師へ

事例①
S:000号室の○○さんが、ショックバイタルです。
B:メロペネムを投与中に、意識が朦朧としてきて血圧とSpO2が低下してきました。頻脈もあります。
A:何が起こっているかわからないし、どのように対応すればいいかもわからないので、
R:先輩、助けてください。

・緊急性が高いことがすぐに伝わる。
・患者さんの状態と、そのときの状況が伝わる。
・後輩看護師はキャパオーバーで、対応できないこと、手伝ってほしいことが伝わる。

事例④
S:○○さん、勤務開始時は脈拍が120台だったのが、10時から60前後に低下しています。
B:(病名や看取りの方針であることは省略)
A:橈骨動脈の触れが弱いのは同じで、SpO2も横ばい、瞳孔も変わりないので、今はまだ安定していると考えて、
R:忙しくなる前に先に△△さんのシャワー介助を終わらせておこうと思います。この判断で大丈夫ですかね?

・患者さんの状態変化が伝わる。
・後輩看護師は、患者さんが短時間のうちにさらに変化するとは予測できていないことが伝わる。
・このあと後輩看護師がどこにいくか所在がわかり、○○さんの状態が変化したとき呼びに行ける。
・今回のような状況での行動計画の見直しが不慣れで、フォローがいることが伝わる。

事例⑤
S:乳がんの手術後の○○さん、傷口が少し赤いのに気づきました。
B:(術後日数などは省略)
A:痛みはないし腫れも熱感もないので感染徴候ではないと思うのですが、自信がないので
R:傷口を一緒に見てもらえませんか?今ならちょうどシャワーを浴びて服を着ていない状態です。

・経験を重ねて創部の正常・異常がわかってきたが、まだ自信を持って判断はできない段階だと伝わる。
・今なら患者さんに再度服を脱いで見せてもらう必要がないので、患者さんにとってタイミングが良いことが伝わる。

追加事例
S:000号室の○○さんのお腹に、発疹があります。
B:今日から内服が始まった薬はネキシウムですが、
A:薬疹が出た患者さんをまだ見たことがなくて、症状はお腹だけですし、もしかしたらパジャマのゴムがきつくて赤くなっているだけかなとも思います。
R:一緒に見てもらえますか?

・患者さんの発疹の原因になりうる情報(薬剤・パジャマのゴム)が伝わる。
・薬疹を見た経験がなく1人で判断できないため、協力してほしいことが伝わる。

追加事例
S:○○さんのオペ迎え(手術終了後の手術室へのお迎え)呼ばれました。
B:△△さんの点滴がもうなくなるのと、□□さんがトイレが終わったらナースコールしてくれる予定です。
A:△△さんの点滴更新をしてからオペ迎えに行くので
R:すみませんが、□□さんのトイレ対応をお願いできますか?

・患者さんの状態の報告以外にも、SBARは使える。
・自分の仕事の状況、自分でできること、依頼したいことが簡潔に伝わる。

追加事例(看護学生)
S:000号室に至急来てほしいです!
B:隣の患者さんの様子がおかしいから来てと声をかけられたんです。
A:覗いてみたら、明らかに普通の様子ではないので
R:対応お願いします。

・緊急性があることが伝わる。
・看護学生の把握した範囲の情報が伝わる。
※看護学生は担当患者以外の対応はできません。
※急変を見つけたら、まずナースコールを押しましょう。

医師へ

事例①
S:肺炎で入院している□□先生の患者の○○さんが、元々しっかりしている人なんですけどメロペネムの初回投与中に意識レベルが低下して、血圧とSpO2も下がっています。
B:薬剤アレルギーが複数ある患者さんです。
A:とりあえずメロペネムを止めて、メインのソリューゲンを全開投与していますが、レベルもバイタルも改善しないので
R:先生、今すぐ診察に来てもらえますか?

・知らない患者さんなので、基本情報を伝えている。
・メロペネムによる薬剤アレルギーが起こっていることが伝わる。
・報告と並行して初期対応はできていることが伝わる。
・緊急性が高く、すぐに診察してほしい状況であることが伝わる。

事例②
S:大腸がんのターミナルで入院している□□先生の患者の○○さんが、DNARの方針ですが多量の下血と血圧低下があったので報告します。
B:3日前にご家族へは出血の可能性があることや予後数日であること、輸血や止血術の希望がないことを確認しています。
A:看護師からご家族に一報電話を入れておきますね。
R:またさらに変化があったら先生に連絡するので、その時はよろしくお願いします。

・検査や処置の指示が不要であることが伝わる。
・家族が理解できていることが伝わる。
・死亡確認の対応を依頼されるかもしれないと予測でき、医師は呼ばれたら対応できるよう準備しておける。

事例③
S:先生の患者さんの○○さんが転倒してしまいました。右大腿部に腫脹と発赤があります。痛みは軽度とのことです。
B:病室へ行ったらすでに倒れていたので、転倒時の状況はわかりませんが
A:おそらくトイレへ行こうとしてテーブルにつまずいたのだと思います。その後なんとか歩いてベッドへは戻れている状態ですが、
R:診察や検査はどうしましょう?

・大腿骨の骨折の評価が必要であることが伝わる。
・転倒時の状況は不明であるが、少なくとも現在は意識レベルの低下がないことが伝わる。
・緊急性はないが、何かしら対応は必要な状況であることが伝わる。

追加事例
S:イレウスで昨日緊急入院になった○○さんから、軽度の胸痛の訴えがあります。
B:循環器系の既往歴は特になく、とりあえず十二誘導心電図を取りましたが
A:今日の看護師は循環器に詳しい人がいないので、よくわかりません。バイタルサインの変化はないので緊急性はない印象ですが、
R:不安なので、お手隙のタイミングで診察に来てもらえませんか?

・先生の知らない患者さんなので、関連しそうな情報として既往歴を伝えている。
・心電図とバイタルサイン測定の対応をしたことが伝わる。
・スタッフの能力的に正常か異常か判断ができず不安なことが伝わる。
・緊急性はなさそうというのは看護師の主観的な判断であり、確実な情報ではないことが伝わる。

追加事例
S:IC(病状説明)中にごめんなさい。○○さんの胸腔ドレーンが抜けてしまい、SpO2が低下し酸素投与しています。
B:たまたま病棟にいた△△先生が今対応してくれてはいますが、
A:(省略)
R:また来れるタイミングでお願いします。

・IC中で医師がすぐには来れない状況であると理解しているが、それでも電話が必要な程の緊急事態であることが伝わる。
・別の先生が対応してくれているので、ICを中断して走ってきてもらう必要はないことが伝わる。
・○○さんの胸腔ドレーンが抜けたらどんな危険があるのか、△△先生には適切な判断をできる能力があるのか、△△先生に引き続き対応をお願いしていて大丈夫なのか(先生同士の関係性など)、これらは看護師より医師の方がわかっているため、考察を述べるまでもないためAは省略

こちらの本にSBARについて書いているので、興味のある人はぜひ読んでみてください!

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